2016年10月29日土曜日

法律用語の略字の意味


法情報検索 各論 4 文献検索 4

刑事系や要件事実などの
講義を受けていると
板書で Tb や S ,J といった
記号を使う講師がいますよね。

要件事実のテキストにも
ブロック・ダイアグラム
Kg や Stg ,E といった
略字が使われています。

これは,漢字の画数が多いので
メモや板書をする際に
簡単に書けるように
略字や記号を使うのだと思います。

簿記の仕訳
下書き用紙にメモ
を取る際に
これは人それぞれですが
例えば
現金 ならば, C
当座預金 は, 当ヨ
売掛金 は, 売×
備品 は,
などとメモしますよね。


ちなみに,図書館 のことを
( くにがまえ )に ト
書きますが
この字は, という漢字の略字です。
は,これ一文字で
“ としょかん ” と読む
国字( 和製漢字 )です。


閑話休題。StgKg
個人のメモならば
簿記の仕訳メモと同じ様に
どう略して書いてもよいのですが
テキストに載っていたり
板書で書かれると
共通性があるので
記号として
覚えておかなければなりません。

この様なものは
記号として繰り返し書いていれば
自然と身に付くのですが
何の略字か,その意味がわかると
頭に定着すると思いますので
備忘録として記しました。


◇ 訴訟物
= Stg  Streitgegenstand
( シュトライト・ゲーゲンシュタント )
◇請求の趣旨
= Ant  Antrag
( アン・トラーク )
◇ 請求原因
= Kg  Klagegrund
( クラーゲ・グルント )
◇ 抗弁
= E  Einrede
( アインレーデ )
◇ 再抗弁
= R  Replik
( レプリーク )
◇ 再々抗弁
= D  Duplik
( ドゥプリーク )
◇ 再々々抗弁
= T  Triplik
( トリプリーク )

これらには
ドイツ語由来
略字が使われています。

またこれらの略字は
要件事実のテキスト でもある,
・ 司法研修所 編 『 問題研究 要件事実 』 法曹会 改訂版 2006
までは,使用されていたのですが
・ 司法研修所 編 『 新問題研究 要件事実 』 法曹会 2011
では,使用されなくなりました。

その他に,ドイツ語由来の略字で
よく出て来るものですと
刑法では

◇ 構成要件
= Tb  Tatbestand
( タート・ベシュタント )
◇ 違法性
= R または Rw
 Rechtswidrigkeit
( レヒツ・ヴィードリヒカイト )
◇ 有責性
= S  Schuld
( シュルト )

があります。


他方
英語由来 の略字ですと

◇ 裁判官
= J  Judge
( ジャッジ )
◇ 検察官
= P  Prosecutor
( プロセキューター )
◇ 弁護士
= B  Barrister
( バリスタ ) ・・・ の
“ B ” と思われます。

なぜ,アメリカ式
Attorney( アトーニー )の
“A ” ではなく
イギリス式
Barrister( バリスタ )を
使うのかは不明です。
もしかして,単純に
「 Bengoshi 」“ B ”
なのか
それとも,“ A ”被告人( 加害者 )
表してもいるので
それと区別するためなのか
わかりません。
とりあえず単なる記号なので
“ B ” の方が
すわりがいいから
なのかもしれません。

その他の英語由来の略字には

◇ 証人
= W  Witness
( ウィトネス )
◇ 被告人( 加害者 )
= A  accused
( アキューズド )
◇ 被害者
= V  victim
( ヴィクティム )

などがあります。

ところで,
記号でよく登場する
由来のはっきりしない記号に

◇ 原告  = X
◇ 被告  = Y
◇ 参加人 = Z

が,あります。

これらは
外国語の略字ではないと思いますが

記号代数学

既知の定数
a,b,c,d,・・・ など
アルファベットの初めの方

未知数
x,y,z,・・・ など
アルファベットの後の方
表しますよね。

それから
関数 y = f ( x )
おいて
x独立変数
y従属変数
呼びますね。

現実の裁判 では
訴訟ごとに 各当事者 がいるので
原告,被告等 にはそれぞれ
名前 があります。
つまり,これは
既知のもの であるので
a,b,c,・・・ です。

ところがそれを
判例共通の法理論 として
一般化 すれば
当事者としての個性はなくなるので
未知あるいは不定のもの である
x,y,z,・・・ を用いる
ということなのでしょう。

そして
独立変数 である
原告 にあて,
従属する y被告 にあてる。

三次元的 になれば
も登場しますから
参加人
とするのだと思います。


でもまあ
これはあくまでも記号なので
深入りしてもね・・・。

諸外国のものを取り入れて
混ぜて,パンゲア大陸のように
してしまうことは
日本の法体系も一緒ですが

ドイツだろうが,アメリカだろうが
フランスだろうが
使い勝手がよければ
それらを取り入れて
それでよしとする
日本人の考え方にマッチした
方法なのかもしれません。


以上

読んでいただき,
ありがとうございました。

2016年10月26日水曜日

刑事裁判記録の閲覧


法情報検索 各論 3 判例検索 5

前回の続きで,
刑事裁判記録の閲覧・謄写は
どうでしょうか。

刑事確定訴訟記録の保管 については
第一審対応 検察庁 にて
保管しています。
刑事確定訴訟記録法 第2条1項

詳細については
第一審対応検察庁の
「 記録事務担当者 」
お問い合わせください。


● 刑事事件記録の閲覧・謄写 - 高松高等検察庁
http://www.kensatsu.go.jp/kakuchou/h_takamatsu/annai/kiroku.html


刑事確定訴訟記録の閲覧 については
刑事訴訟法 第53条1項
(訴訟記録の閲覧)
および
刑事確定訴訟記録法 第4条1項
(保管記録の閲覧)
により
誰でも閲覧することができる
ことになっています。

さらに
刑事確定訴訟記録法 第9条2項
おいて
刑事参考記録について
学術研究のためなど
必要があると認められた者

閲覧を申し出ることができます。

しかし
プライバシー保護の観点など から
一般の人が閲覧するには
制約がかかることが多い
ようです。
刑事訴訟法 第53条2項
刑事確定訴訟記録法 第4条2項
刑事確定訴訟記録法 第6条

(閲覧者の義務)


刑事確定訴訟記録の謄写 については
法務省の 記録事務規程 第17条1項
より
保管検察官は
保管記録又は再審保存記録の閲覧を
許すときは
その謄写を許すことができる。

とされています。

● 記録事務規程 - 法務省
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji20.html
法務省トップページ
> 法務省の概要
> 各組織の説明
> 内部部局
> 刑事局
> 記録事務規程


では
係属中の事件記録の閲覧や謄写
どうでしょう。
刑事訴訟法 第40条
(弁護人の書類・証拠物の閲覧謄写権)
犯罪被害者等の権利利益の保護を
図るための刑事手続に
付随する措置に関する法律
第3条

(被害者等による公判記録の閲覧及び謄写)
第4条
( 同種余罪の被害者等による公判記録の閲覧及び謄写 )
により
被害者等と弁護人は
閲覧や謄写が可能

ですが
一般の人の閲覧・謄写はできません。

● 裁判手続 刑事事件Q&A - 裁判所Webサイト
http://www.courts.go.jp/saiban/qa_keizi/qa_keizi_34/index.html
裁判所トップページ
> 裁判手続の案内
> 裁判手続 刑事事件Q&A
> 訴訟記録の閲覧及び
謄写とはどのようなものですか。


不起訴事件記録の開示 については
刑事訴訟法 第47条
(訴訟書類の公開禁止)により
原則非公開 ですので,
一般の人の閲覧・謄写はできません。

一方
被害者等の保護の観点 から
一定の事由 について,
被害者等,被害者等の法定代理人,
代理人の弁護士
には
開示を認めています。

・ 被害者参加対象事件についての
記録閲覧請求の場合。

民事訴訟等において被害回復のための
損害賠償請求権その他の権利を
行使する目的である場合。
および,このような場合に限らず
「 事件の内容を知ること 」等を
目的とする場合であっても
原則として閲覧を認めています。

・ 被害者参加対象事件以外の
事件についての
記録閲覧・謄写請求の場合。

民事訴訟等において被害回復のための
損害賠償請求権その他の権利を
行使する目的である場合に
閲覧を認めています。

詳細については
こちらをご覧ください。


● 不起訴事件記録の開示について - 法務省
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji23.html
法務省トップページ
> 政策・施策
> 刑事政策
> 検察
> 不起訴事件記録の開示について


捜査中の刑事事件の捜査記録
ついても
刑事訴訟法 第47条
(訴訟書類の公開禁止)により
原則非公開 ですので
一般の人の
閲覧・謄写はできません。



まとめますと

一般の人の
閲覧・謄写ができるとされるのは

制約がありますが
刑事事件では
確定された訴訟記録のみです。


※ 参考文献

★ 証拠収集実務マニュアル
- 東京弁護士会法友全期会民事訴訟実務研究会 編 ぎょうせい 2009.9


★ 立証の実務 改訂版 証拠収集とその活用の手引
― 群馬弁護士会 編 ぎょうせい 2016.9



以上

読んでいただき,
ありがとうございました。

2016年10月23日日曜日

民事裁判記録の閲覧


法情報検索 各論 3 判例検索 4

前回の探せない判例についてですが

判例検索について
入念に検索してみたけど
それでもない場合です。

これ以上は,法科大学院生や
法学部生の学習としては,
勉強時間を浪費してしまいますので
法律的判断が同じ判例を探して
妥協したほうがよいと思います。


ここからは実務的ですが
判決は裁判所で
閲覧することができます。

ただし,制限があります。

裁判の公開の原則( 憲法82条 )
を受けて

・ 民事訴訟法 第91条
( 訴訟記録の閲覧等 )
・ 民事訴訟法 第92条
( 秘密保護のための閲覧等の制限 )
・ 刑事訴訟法 第53条
( 訴訟記録の閲覧 )
・ 刑事訴訟法 第53条の2
( 情報公開法の適用除外 )
・ 刑事確定訴訟記録法 第4条
( 保管記録の閲覧 )

が,規定されています


民事裁判記録の保管
係属中の事件記録 であれば
係属中の裁判所の係属部
保管されています。

これに対し
確定事件の記録
その事件の 第一審裁判所
送られ
その裁判所で保管されています。

民事裁判記録の閲覧 については
通常の公開事件 について
事件が係属中,確定済みを問わず
誰でも
閲覧することができます。
民事訴訟法 第91条1項

ただ,閲覧申請する前提として
原告・被告の当事者名や
事件番号がわからないと
調べようがありませんよ。

一方で
保全,執行,破産等の非公開事件
については
事件の係属中,確定済みを問わず
当事者および
利害関係人を疎明した
利害関係人のみ

閲覧することが可能です。
民事訴訟法 第91条2項

民事裁判記録の謄写 については
事件の公開,非公開および係属中
確定済みを問わず
当事者および
利害関係人を疎明した
利害関係人のみ
が可能です。
民事訴訟法 第91条3項


詳細はこちらをご参考ください。

● 民事事件記録の閲覧・謄写の御案内 - 裁判所ウェブサイト
http://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/l3/Vcms3_00000548.html
裁判所トップページ
> 各地の裁判所
> 東京地方裁判所
> 裁判手続きを利用する方へ
> 民事事件記録の閲覧・謄写の御案内

● 執行事件記録の閲覧謄写申請に際してのご注意 - 裁判所Webサイト
http://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minzi_section21/tyuui_eturan/index.html
裁判所トップページ
> 各地の裁判所
> 東京地方裁判所
> 裁判手続きを利用する方へ
> 民事第21部( 民事執行センター・インフォメーション21 )
> 執行事件記録の閲覧謄写申請に際してのご注意

● 民事訴訟事件の記録は誰でも閲覧ができるか - 弁護士河原崎法律事務所
http://www.asahi-net.or.jp/~zi3h-kwrz/minrecord.html
弁護士河原崎法律事務所ホーム
> 法情報
> 民事事件の記録は誰でも閲覧ができるか


ちなみに
家事事件記録 の閲覧や
謄写ができるのは
そもそも,家事事件が
対審・公開の手続きが
とられていないため
事件の係属中
または確定済みに関係なく
事件関係者のみ です。
家事審判規則12条1項


● 家事事件に関するその他の手続 - 事件記録の閲覧・謄写を希望する方( 手続案内 )
http://www.courts.go.jp/nagoya-f/vcms_lf/20205011.pdf
裁判所トップページ
> 各地の裁判所
> 名古屋家庭裁判所
> 裁判手続を利用する方へ
> 家事事件の手続について
(名古屋家庭裁判所)
> 家事事件に関するその他の手続
> 事件記録の閲覧・謄写を希望する方
> 手続案内


刑事裁判記録の閲覧については
長くなりそうなので。

それは,次回・・・。


※ 参考文献

★ 証拠収集実務マニュアル
- 東京弁護士会法友全期会民事訴訟実務研究会 編 ぎょうせい 2009.9


★ 立証の実務 改訂版 証拠収集とその活用の手引
- 群馬弁護士会 編 ぎょうせい 2016.9



以上
読んでいただき,
ありがとうございました。

2016年10月21日金曜日

改憲論の効果


法律は抽象的に書かれているので
様々な解釈ができます。
上位の憲法は
もっと抽象的なので
さらに多様な解釈ができます。

改憲論の声が
上げられる昨今

マスコミで取り上げられるのは
いつも 憲法 第9条
ですよね。

なぜ
改憲論で問題になるのが
第9条のみで
他の規定は
問題にされないのかというと。

他の規定は
問題が起こった場合は
立法により
容易に解決を
図ることができると
考えられるからです。

それから
特にこの手の問題については
個人的思想や意見等を
それぞれ持っておられると
思いますので,
各人の見識に基づいて
ご判断されればよいと思います。


自衛隊の海外派遣・武器使用など
解釈論でそこまで可能ならば
別にわざわざ改憲する必要もなく
これからも今までのように
解釈で対応していけばよいのでは?

と,いうようになります。

また
内閣法制局
前に倣うことが慣例で無難ですし
それに
行政機関 ですから
立法府で決定されたものを
執行する機関なので
建前上率先して
改憲を唱えるはずがありません。

一方
改憲派の国会議員
立法府 に属しますので
第9条問題において
自衛隊の海外派遣・武器使用など
結論ありきの
苦しい解釈をするくらいなら
国民の合意を得て
改憲することが望ましい。
と,国会議員の職域を活かした
発言が出てきます。

司法 はというと
これは
国家統治の基本に関する
高度に政治性のあるものであり
司法が出る問題ではありません。

そうすると
改憲の是非 については
専門家にお任せ って
わけにはいかなくなるので
国民個人の判断が重大で
一人一人がしっかりした意見を
持つことが重要になります。


責任が重いですよね。


今の政権のことではありませんが
仮に
田中角栄,小泉純一郎 元首相のような
アジテーションに長けた
政治家が登場した場合
大衆は盲目的に
ついて行ってしまいます。


ヒトラー誕生のように
パワーはあるが
ひとつ間違えれば
国がとんでもない方向に
行ってしまう危険性があります。

今,田中角栄 元首相を
礼賛した本が
多く出版されていますが
今後
田中角栄的な政治家が
出てきたならば
また
マスコミは連日こぞって
引きずり下ろすでしょうね・・・。

小室直樹 先生 のように
ぶれなかった方 もおられますが。

テレビ,ラジオ,新聞や
ウェブサイトなどの各メディアは
マインドコントロールや
大衆煽動のツールにもなるし
教養を身につけるための
ツールにもなります。

両刃の剣 ということです。


それから
選挙権も18歳に引き下げらましたが
それにともない
学校教育の見直しも考えられますね。


ところで,
最近の安倍政権の情勢 をみると
今回
幹事長 に 二階俊博 氏
据えました。
これは,党内バランスを取り
対中問題を
安定させることなのでしょう。
それと,寝技もやるぞ
という,メッセージにもなるしね。

外交問題
アメリカが混乱しているうちに
対中,対露関係を
進展させたいでしょう。

また
野中広務 氏 の復党 により
二階俊博 幹事長 同様
海千山千の親中,ハト派の
重鎮の顔が見える
ことで
イメージ的に自民党・安倍内閣の
バランスがとれて
安定してきたようにも思えます。

つまり
外交について
政府と党の姿勢を
人事でメッセージを送っている
ということでしょう。

だから,中国はすぐに
今度の政府が
どう出て来るのかを探りに
尖閣諸島周辺に船を航行させて
試してきますよね。

このような
党と内閣の人事のバランスなどから
政権運営を見れば
安倍首相は
本気で今,改憲なんかするとは
思ってませんよ。

ただ
国民に対して,憲法に関心を向け
主権在民を問うた
とはいえるでしょう。


以上のような
動きから判断すれば

憲法改正をするしないにかかわらず
それを契機に
国民主権について
国民の政治的意思決定の重要性など
国民個人の政治への意識を高めることや
憲法,さらには教育問題
メディア・リテラシーなどに至るまで
色々なことを見直したり
問題提起したりして
国民一人一人が考えを深めることは
よいことだと思います。


最後に
今回のテーマに関連する
本を紹介します。


★ 比較のなかの日本国憲法 (岩波新書 黄版 95) / 岩波書店

★ 「主権者教育」を問う (岩波ブックレット) / 岩波書店

★ 国民代表の政治責任 (1977年) (岩波新書) / 岩波書店

★ 群衆心理 (講談社学術文庫) / 講談社

★ 公衆とその諸問題 - 現代政治の基礎 (ちくま学芸文庫) / 筑摩書房

★ たのしいプロパガンダ (イースト新書Q) / イースト・プレス

★ テレビ的教養 (日本の“現代”) / エヌティティ出版

★ 田中角栄の呪い - ”角栄”を殺すと 日本が死ぬ (カッパ・ビジネス) / 光文社


以上

読んでいただき,
ありがとうございました。

2016年10月19日水曜日

判例公刊


法情報検索 各論 3 判例検索 3

判例を調べる際
判例集に載っていない
判例があります。

憲法第82条〈 裁判の公開 〉において
1項…
裁判の対審及び判決は
公開法廷でこれを行ふ。

2項…
裁判所が
裁判官の全員一致で
公の秩序又は善良の風俗を
害する虞があると決した場合には
対審は
公開しないで
これを行ふことができる。
但し
政治犯罪
出版に関する犯罪
又は
この憲法第三章で保障する
国民の権利が問題となつてゐる
事件の対審は
常にこれを公開しなければならない。


とあります。

一方
判例 には
判決後に判例集等に登載される
「 公刊判例 」
公刊物に公開されることのない
「 未公刊判例 」 があります。

憲法で裁判の公開を規定しながら
判例においては一部のみが公刊され
あとの大多数は
公刊物に登載されていません。

また,判例登載の基準についても
ほとんど明らかにされていないのが
現状です。

この点について
判例を積極的に公刊するか否かには
双方の立場からの意見 があります。

まず
積極的に公刊すべきという立場
( 促進説 )
からは
★ 裁判の平等性の強調
★ 法的安定性の重視
★ 情報公開の尊重 
(公刊されている
私的判例集においては
匿名化が一般的になっています。)

を,主張します。

一方
全ての判例公刊には 消極的な立場
( 限定説 )
からは
★ 判例公刊にはコストがかかり
効率性や合理性からみても
全判例の公刊に意味がない。
★ プライバシーの公開になるという
問題点がある。

というように考えます。

これらの立場を踏まえて
現状の判例公刊になっているので
論文等に引用されていても
実際に入手できない判例もあります。

なお
法律的判断が
過去の判断と同様であれば
判例集には掲載されません。
ですから
話題性のある判決でも
判例集に
掲載されているとは限りません。

しかし,自分の探している判例が
見つからなかったとしても
公刊されていないのではなく
検索方法が至らない場合も
ありますので
改めて検索してみましょう。

① データベース検索

各社有料データベース
裁判所Webサイトなどは
収録件数がそれぞれ違うので
目的の判例がない場合は
すべてのデータベースを
検索してみます。

よくある検索ミスとして
事件名で検索する場合は
データベースにより
検索語が異なっていたりします。
また
固有名詞で
検索ができなかったりするので
検索に工夫が必要です。

② 法律雑誌での調査

「 判例時報 」
「 判例タイムズ 」
その他の判例雑誌は
出版社が
独自に収集している判例があるので
公的判例集に掲載されていない判例も
掲載されています。
データベースの法律雑誌横断検索や
法律判例文献情報
および
実際の冊子体に当たってみましょう。

③ 新聞記事での調査

新聞記事に判決要旨が
掲載されることがあります。
また
判例集に掲載されていない判決が
掲載されている場合もあります。


これらの検索を試みても
ない場合は,
そもそも
元の情報が間違えている場合も
あります。
そこの,検証も行いましょう。


★ 参考文献

判例公刊 については

・ 指宿信 『 判例公刊について 上 』 法律時報 73巻10号 67-73頁
・ 指宿信 『 判例公刊について 下 』 法律時報 73巻11号 91-97頁

から要旨をまとめ

・ 町村泰貴 『 裁判所の判決や決定が公開される割合 』 Matimulog ( 2012 / 5 / 26 )
http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2012/05/justice-08f6.html#more
( アクセス日 : 2016年10月25日 )

・ 椿寿夫 『 判例の入手をめぐって 』 法律時報 62巻5号 38頁

を適宜,参考にしました。


以上

読んでいただき,
ありがとうございました。

2016年10月16日日曜日

判例と裁判例


法情報検索 各論 3 判例検索 2

図書館のレファレンスサービスでの
問合わせや
司書対象の
リーガル・リサーチの研修で
よくある質問の中に

判例って,法律なんですか?
という質問がよくあります。

ちなみに,法科大学院生から,
このような質問を
受けたことはありません。
当然ですよね。

もちろん,法律ではありません。

ここでは,
判例とはどういう意味で使われるのか
そして,
判例と裁判例なるものはどう違うのかを
説明します。

まず,
憲法第76条3項 を見ると
「 すべて裁判官は
その良心に従ひ
独立してその職権を行ひ
この憲法及び法律にのみ
拘束される 」

このように
憲法上
裁判官は憲法と法律には
拘束されますが,
判例には拘束されないのです。

しかし
同様の事案について
裁判官の個人的思想によって
判断が異なれば
当事者とすれば
予測不能であり,不安定ですよね。

自分の経験上でも
簡易裁判所では
かなり自由な裁判が
なされているように見えます。

だから
慎重・公正な判断をするために
三審制の制度があり
法的安定性を保つために
裁判所法などで判断を拘束し
判断基準の統一がなされています。

まず
判例変更を行う場合は
最高裁判所の大法廷で審理されます。
( 裁判所法10条3号 )

また
最高裁判所の判例と相反する
判断がなされた場合には
民事訴訟では上告受理の申立理由
刑事訴訟では上告の申立理由
になります。
( 民事訴訟法318条1項 )
( 刑事訴訟法405条2号 )

さらに
裁判所法4条の規定において
「 上級審の裁判所の
裁判における判断は
その事件について
下級審の裁判所を拘束する 」
とされています。

つぎに
判例 という言葉には
三つの意味があります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
①…
個々の判決
(例)昭和49年9月26日 の判例

②…
ある特定の裁判の理由の中で
示された判断
( 判決のなかで示された
法理論・準則 )

③…
ある問題についての
多くの判決から導き出される
裁判所の法律的な考え方
( 複数の判例をすべて説明できる
共通の法理論 )
~~~~~~~~~~~~~~~~~
※ 良永和隆 「 判例の意義と読み方 」 - 開講にあたって
http://1st.geocities.jp/philosophicaljurist/tanbutu/hanreiyomikata
から引用しました。
( アクセス日:2016年10月16日 )

① の個々の判決の中でも
重要な 「 判例 」 として
価値があると判断し
最高裁判所判例委員会
選択したものが
「 最高裁判所判例集 」
登載されます。

なお,この
「最高裁判所判例集(民集・刑集)」
に,登載された判例は,
「 法曹時報 」
「 最高裁判所判例解説 」 として
登載されます。

したがって,判例を引用する場合
最高裁判所判例委員会の
お墨付きもあることから
「 最高裁判所判例集 」登載のものを
引用することがよいとされます。

この 最高裁判所判例集
毎月1回発行されます。
この時点での装丁は
白の表紙で
民亊と刑事が分裂していなく
民亊のページの後に
刑事のページがきます。

多数の図書館では
その後に
民事 と 刑事 が別々に製本され
「 最高裁判所民事判例集 」
( 民集 )

「最高裁判所刑事判例集」
( 刑集 )
とに
分裂します。

つまり
白表紙のうちは
「 最高裁判所判例集 」
( 最高裁判例集 )


製本されると
「 最高裁判所民事判例集 」
( 民集 )
「 最高裁判所刑事判例集 」
( 刑集 )

に名前が変わります。

後に説明する
「 高等裁判所判例集 」

「 高等裁判所民事判例集 」
( 高民集 )
「 高等裁判所刑事判例集 」
( 高刑集 )

同様の構造になっています。

ページについては
その巻の通しのページと
その号の個別のページの両方が
付されています。


この他に
「 最高裁判所裁判集民事 」
( 裁判集民 )
「 最高裁判所裁判集刑事 」
( 裁判集刑 )


「 最高裁判所判例集 」 以外に
最高裁判例を搭載した
資料としてあります。

これらは
「 最高裁判所判例集 」
登載するまでではないが
参考になる判例を
上告理由・上告趣意を含めて
登載しています。

また,名前の通り
判例委員会が選択 した
「 判例 」 との区別のために
こちらの資料名は
「 裁判集 」 となっています。

それ以外で
「 高等裁判所判例集 」
ついては
なぜ,最高裁判例でないのに
「 裁判例集 」 でなく
「 判例集 」 と呼ばれるのかです

最高裁の判例がないものは
高裁の判断も
判例として扱われるからです。
( 民事訴訟法318条1項 )
( 刑事訴訟法405条3号 )

手続きも
各高等裁判所の判例委員会
高等裁判所の判例として
選択したものを
「 高等裁判所判例集 」
登載するので,
「 判例集 」 とされています。


その他については
裁判所判例委員会の
協議を経て選択された,
「 判例集 」 と区別するため
実務に与える影響が少ない先例を
「 裁判例集 」
としているようです。

検索の際には
その辺を押さえておいてください。


参考文献

① 判例とその読み方 中野次雄 編著 / 有斐閣 2009.4

② 判例学習のAtoZ 池田眞朗 編著 / 有斐閣 2010.10

③ 法律文献学入門 - 法令・判例・文献の調べ方 西野喜一 著 / 成文堂 2002.7

④ リーガル・リサーチ 第5版 いしかわまりこ 他著 / 日本評論社 2016.3

さらに,判例学習において
法学部以外の方で
上記① は少し難しいですが
②でも難しいと思う方は

⑤ 読み方・使いこなし方のコツがわかる 日本一やさしい条文・判例の教科書
品川皓亮 著 / 日本実業出版社 2015.1


が,易しくてわかりやすい
と思います。


以上
読んでいただき,
ありがとうございました。

2016年10月14日金曜日

判例が収録されるまでの期間


法情報検索 各論 3 判例検索 1


かつての紙媒体の情報から
IT技術の発達により,
インターネットを介しての
Webの登場で
情報流通が高速化しました。

判例や法令等の法情報も同様で
より速く
情報を知ることができます。

今回は
判決が言い渡されてから
各媒体に
判例として収録されるまでの期間を
比較しました。


判例が収録されるまでの期間は
データベースや冊子体資料により
異なります。

図にすると,こんな感じです。



◆ 裁判所ウェブサイト - 裁判例情報
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0010?action_id=first&hanreiSrchKbn=01

◇ 最近の判例一覧
http://www.courts.go.jp/hanrei.html
裁判所トップページ
> 裁判例情報
> 最近の判例一覧

最高裁判所判例集 及び
下級裁判所判例集 については
過去3か月以内
知的財産裁判例集 については
過去1か月以内
各判決等の一覧が表示。

早いものでは
判決の翌日に掲載され
速報性に富む一方
審級・裁判所によって
掲載時期にばらつき

があります。
掲載までの期間は
翌日~約2週間から1ヵ月後。



◆ 裁判所時報

最高裁判所事務総局が
月2回(1日,15日)発行
する
裁判所組織内の広報新聞。

裁判例,最高裁判所判例要旨,
最高裁判所裁判例要旨
( 民事のみ )の速報が
掲載されています。

また,
裁判所に関係ある法律や
最高裁判所規則・規程の改廃,
裁判官の人事異動情報,
司法修習生の修習開始・終了,
裁判所関係のニュース等を収録。

1月1日号には,
長官所長会同における
長官挨拶が掲載されます。

判決言渡日から
約2週間から1ヶ月後に
判決全文を速報。

インターネットでの判決速報が
なかった当時は
相当早く,判例を見ることが出来る
情報媒体として活用されていました。

現在も民集・刑集の要旨を見たり
速報として利用するのに役立ちます。


◆ 判例雑誌

『 判例タイムズ 』 月1回
『 判例時報 』 月3回
分野別判例雑誌など

があります。

掲載は判決言渡日から
早くて約1ヵ月~6ヵ月
「判タ」,「判時」については
約1ヵ月 ~ 3ヶ月後。



◆ 有料判例データベース( Web版 )

◇ LEX/DBインターネット - ご利用案内
https://lex.lawlibrary.jp/guide.html

新判例公表にあわせ
毎週金曜日に判例を追録更新。

毎週アップデートされる
新着判例を一覧で確認できます。


◇ D1-law.com 判例体系
https://www.d1-law.com/service_info/hanrei.html

更新頻度は日次更新。
加除式書籍で提供されている
『判例体系』のインターネット版。


◇ 判例秘書アカデミック版( LLI統合型法律情報システム )( LIC )
https://www.lli-hanrei.com/ 
※ パスワード入力必要
> データ更新のお知らせ

更新頻度は毎月2回以上。


◇ Lexis (R) As One - 製品案内
※ 検索ご利用者向け ( PDF )

http://www.lexisnexis.jp/pdf/ASONE_Search.pdf

更新頻度は
最高裁判所Webサイトに
掲載の判例を毎週更新。
その他の判例は月1回更新。



◇ Westlaw Japan
http://www.westlawjapan.com/products/westlaw-japan/contents/

更新頻度は日次更新。


◆ 公式判例集

掲載までの期間は
およそ半年~1年以上で
収録までに時間がかかります。


公式判例集では
厳選された判例情報が
省略されず掲載されます。

また,重要性の高い資料ですので
著作や報告書等で引用する際には
先して引用することが
望ましいとされています。


以上

読んでいただき,
ありがとうございました。

2016年10月11日火曜日

判例時報 と判例評論


法情報検索 各論 4 文献検索 3

講義で紹介された文献や
レジュメに記載されている
参考文献について
よく尋ねられるもののうち
『 判例評論 』 の所蔵
についての質問あります。

まず,
『 判例評論 』
についてですが

『 判例評論 』 は
単体の雑誌ではありません。


『 判例時報 』の 毎月1日号
「 別冊 」 のような形で
『 判例評論 』 が付いて いて
毎号5~10件の記事が記載されています。
つまり,付録です。

『 判例時報 』と『 判例評論 』には
それぞれ 別の号数 がついています。


また,
『 判例評論 』 には
『 判例時報 』本体との
通しページ数 と,
『 判例評論 』 独自の
ページ数 の
2種類のページが表記

されています。

これらが,ややこしく
わかりにくくさせる
理由のひとつです。


データベースでの検索 では
例えば
TKCの場合
「 評釈等所在情報 」
【 判例評論530号16頁
( 判例時報1809号附録 178頁 )】

といったように
『 判例評論 』 と『 判例時報 』 の
号数とページ数が
併記されています。


他方,
LLIの場合
「 評釈論文 」 には
【 判例評論530号16頁 】

『 判例評論 』 の
号数とページ数のみの記載 に
なっていて
『 判例時報 』 の
号数とページ数が
併記されていません。


したがって,検索対象により
データベースの選択が重要です。


無料のデータベースで
検索するならば
『 国立国会図書館サーチ 』 からの
『 NDL雑誌記事索引 』
無難でしょう。

● 国立国会図書館サーチ
http://iss.ndl.go.jp/


判例時報社のWebサイト が
http://hanreijiho.co.jp/

2016年5月9日より
新規公開されましたので,
バックナンバー等の項目から
『 判例評論 』 の検索も
しやすくなったのかな?
と,期待をしていたところ

『 判例評論 』 の号数は
出ていませんでした。
( 2016年10月11日 現在 )
・・・ 残 念 ・・・


これはまあ,「 索引号 」
買ってください。
ということでしょうね。


ということで,
昔ながらの一般的な検索方法で行うには
「 索引号 」 を活用します。

1000号ごとに発行される
臨時増刊 『 判例時報総索引 』 には
『 判例評論 』 の索引
含まれています。

また,各年の「 3月1日号 」にも
だいたい,35号分程度まとめた
「 総索引 」 が
『 別冊付録 』 として付いてきます。


図書館の製本された
『 判例評論 』を調べるには
各図書館で製本する際に
図書館ごとの方法により
『 判例時報 』と『 判例評論 』 を
別々に製本していることがあります。

もし,
目的のページが抜けている場合には
別に製本された『 判例評論 』 に
掲載されていることも考えられるため
そちらも確認したほうが
よいでしょう。

なお,当然ながら
欠号のこともあります。

最後に,もうひとつ
頭に入れておいてほしいことは

引用論文を探す場合,
出典表示に
『 判例時報 』 ○号○頁 と
なっていても,
実際には
『 判例評論 』 に
掲載されている場合があります。
号数,ページ数の表示方法も
著者により出典表示は
まちまちということに
留意しておいてください。


以上

読んでいただき,
ありがとうございました。

2016年10月10日月曜日

判例時報のデータベース化


法情報検索 各論 4 文献検索 2

「 判例時報 」
全文はデータベースで
見ることができますか ?


との質問がよくあります。

回答は,
「 判例時報 」 の全文は,
今のところ
データベース化されていません。

( 平成28年10月10日 現在 )


判例時報社 の Webサイト
については
2016年春より,ようやく
新規公開されました。

『 判例時報 』 の最新刊や
バックナンバー情報を中心

お知らせをするそうです。
(2016年5月9日 Webサイトにて公表)

● 株式会社 判例時報社
http://hanreijiho.co.jp/


これは,あくまでも伝聞にすぎず
裏取りしたわけでもないのですが。

判例時報社は
前社長の目の黒いうちは
データベース化しないし
Webサイトも作らない
という様なことを
聞いていましたが・・・。

2016年春より
Webサイトの新規公開 !

「 ん? 」
何か大きい変化???

そして,
判例時報社Webサイト より
2016年9月23日 公表
代表取締役社長 下平健一 の
死去ならびに新役員体制のお知らせ。

去る平成28年7月3日に
弊社代表取締役社長
下平健一が死去致しました
(享年80歳)。

との,発表。
http://hanreijiho.co.jp/wordpress/news/%E5%BC%8A%E7%A4%BE%E4%BB%A3%E8%A1%A8%E5%8F%96%E7%B7%A0%E5%BD%B9%E7%A4%BE%E9%95%B7%E4%B8%8B%E5%B9%B3%E5%81%A5%E4%B8%80%E3%81%AE%E6%AD%BB%E5%8E%BB%E3%81%AA/


今後は,新体制にもなり
「 判例時報 」 もデータベース化
するんですかねぇ・・・?

今後の動向が注目です。


まあ,それはそれとして

前社長・下平健一 様の
ご冥福をお祈りいたします。


以上

読んでいただき,
ありがとうございました。

2016年10月9日日曜日

最高裁判所調査官解説


法情報検索 各論 4 文献検索 1

調査官解説 >= 最高裁判所判例解説

法科大学院の
未修1年生からの問い合わせが
特に多いのですが,

調査官解説って何ですか?
検索機で調べても
出てきません。
どこにありますか?

と,聞かれることがあります。


調査官解説 とは,
最高裁判所調査官による
判例解説です。

一般的には
「 最高裁判所判例解説 」のことを指し
「 最高裁判所判例解説 」 は
「 民事篇 」
「 刑事篇 」 に分かれ,
さらに,
「 索引 」のみの巻が別にあります。


この他にも,
最高裁判所調査官による
判例解説があります。


調査官解説について,
渡辺達徳
『 民法 渡辺道場 』 19頁
〔 日本評論社 2005 〕

わかりやすい解説がありますので
その要旨を引用します。

~~~~~~~~~~~~~~~~~

調査官解説とは,
当該事件を担当した調査官が
事案の概要,訴訟の経過,
最高裁判所の判旨を整理した上
これに関する
過去の裁判例や学説の状況,
同判決に関する判例評釈等を
紹介するものです。

調査官解説
「法曹時報」 に掲載された後
年ごと編成されて
「最高裁判所判例解説」 になります。

~~~~~~~~~~~~~~~~~
流れとしては,次のようになります。

判決 → 法曹時報に掲載
→ 最高裁判所判例解説に編成

~~~~~~~~~~~~~~~~~

法曹時報の調査官解説が
公にされるまでには
少し日数がかかることが多いです。

他方,
「判例時報」,「判例タイムズ」,
「金融・商事判例」,「金融法務事情」
などの雑誌
には
最高裁判所の判決・決定が
紹介されるにあたって,
カコミで匿名の解説が
付されています。

これは,
「 匿名コメント 」 などと呼ばれ,
執筆者の記名はありませんが
調査官の手によるものと
考えられています。
ただし,
各判例掲載雑誌の編集部の責任で
付されたコメントもあります。

なぜなら,
こうした雑誌の刊行と前後して
「ジュリスト」の
「時の判例」
というコーナー

ほとんど同文の解説が
掲載されているのが常で,
こちらには
執筆担当調査官の氏名が
明記されている
からです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~


なお,
平成元年~23年までの
「時の判例」
全7巻
まとめられて
有斐閣から
「ジュリスト増刊
最高裁 時の判例(Ⅰ ~ Ⅶ)」

として刊行されています。

また,
前掲の各雑誌以外にも
「法律時報」
「最高裁新判例紹介」 にも
コメント ( 説明 ) が
掲載されています。


調査官解説のデータベースについての
よくある質問。


Q.
「最高裁判所判例解説」,
「法曹時報〈 判例解説部分 〉」の
全文は
データベースで
見ることができますか??

A.
「最高裁判所判例解説」,
「法曹時報〈 判例解説部分 )」は
データベース化されています。

「 LLI/DB 」,「 WESTLAW JAPAN 」,
「 D1-Law.com判例体系 」,「 TKC 」に
収録されています。

ただし,
このデータベースは
オプション契約 ですので
各法科大学院によって
契約がまちまち
です。


平成28年10月8日現在での
収録範囲は

最高裁判所判例解説 …
昭和29年度~平成24年度
法曹時報〈 判例解説部分 〉…
65巻1号~68巻6号

で,「法曹時報」 の冊子体は
68巻9号 まで刊行されています。
( 平成28年10月8日 現在 )

ですので,
68巻7号 ~ 68巻9号 については
冊子体をご覧ください。


補足説明として,

冊子体の「法曹時報」 で
目的の判例解説を探す場合。

「法曹時報」の
最高裁判所判例解説は
掲載が判決年月日順になっておらず

索引も毎年6月号と12月号にのみ
掲載されるので,検索が面倒です。


※ 参考文献・Webサイト

・ 渡辺達徳 『 民法 渡辺道場』19頁
〔日本評論社 2005〕
から要旨を引用。


その他に,

・ 池田真朗 編『 判例学習のAtoZ 』
〔 有斐閣 2010 〕

・ いしかわまりこ 他 『 リーガルリサーチ 』
〔 日本評論社 第4版 2012 〕

・ 塩崎勤
「 PERSON・法律家 - 異色裁判官のOJT ( 1 ) 」
ロースクール研究 №7 174頁
〔 民事法研究会 2007 〕

・LLI統合型法律情報システム・収録範囲
https://www.lli-hanrei.com/indexjp.html
〈 パスワード入力必須 〉

・WESTLAW JAPAN 収録コンテンツ - 最高裁判所判例解説/法曹時報
http://www.westlawjapan.com/products/westlaw-japan/contents/hanrei-housou/

・D1-Law.com判例体系 オプションコンテンツ - 「最高裁判所判例解説」「法曹時報」
http://www.daiichihoki.co.jp/hoso/saikosaihanreikaisetsu/index.html

・TKCローライブラリー
http://www.tkc.jp/law/lawlibrary


(ウェブサイトの閲覧日 : 2016年11月1日)

を適宜参考にしました。


以上

読んでいただき,
ありがとうございました。