2016年10月26日水曜日

刑事裁判記録の閲覧

法情報検索 各論 3 判例検索 5

民事裁判記録の閲覧・謄写に対し
刑事裁判記録の閲覧・謄写は
どうでしょうか。

刑事確定訴訟記録の保管 については
第一審対応 検察庁 にて
保管しています。
刑事確定訴訟記録法 第2条1項

詳細については
第一審対応検察庁の
『記録事務担当者』
お問い合わせください。


● 刑事事件記録の閲覧・謄写
- 高松高等検察庁

http://www.kensatsu.go.jp/kakuchou/h_takamatsu/annai/kiroku.html


刑事確定訴訟記録の閲覧 については
刑事訴訟法 第53条1項
(訴訟記録の閲覧)
および
刑事確定訴訟記録法 第4条1項
(保管記録の閲覧)
により
誰でも閲覧することができる
ことになっています。

さらに
刑事確定訴訟記録法 第9条2項
おいて
刑事参考記録について
学術研究のためなど
必要があると認められた者

閲覧を申し出ることができます。

しかし
プライバシー保護の観点など から
一般の人が閲覧するには
制約がかかることが多い
ようです。
刑事訴訟法 第53条2項
刑事確定訴訟記録法 第4条2項
刑事確定訴訟記録法 第6条

(閲覧者の義務)


刑事確定訴訟記録の謄写 については
法務省の 記録事務規程 第17条1項
より
保管検察官は
保管記録又は再審保存記録の閲覧を
許すときは
その謄写を許すことができる。

とされています。

● 記録事務規程 - 法務省
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji20.html
法務省トップページ
> 法務省の概要
> 各組織の説明
> 内部部局
> 刑事局
> 記録事務規程


では
係属中の事件記録の閲覧や謄写
どうでしょう。
刑事訴訟法 第40条
(弁護人の書類・証拠物の閲覧謄写権)
犯罪被害者等の権利利益の保護を
図るための刑事手続に
付随する措置に関する法律
第3条

(被害者等による公判記録の閲覧及び謄写)
第4条
( 同種余罪の被害者等による公判記録の閲覧及び謄写 )
により
被害者等と弁護人は
閲覧や謄写が可能

ですが
一般の人の閲覧・謄写はできません。

● 裁判手続 刑事事件Q&A
- 裁判所Webサイト

http://www.courts.go.jp/saiban/qa_keizi/qa_keizi_34/index.html
裁判所トップページ
> 裁判手続の案内
> 裁判手続 刑事事件Q&A
> 訴訟記録の閲覧及び
謄写とはどのようなものですか。


不起訴事件記録の開示 については
刑事訴訟法 第47条
(訴訟書類の公開禁止)により
原則非公開 ですので,
一般の人の閲覧・謄写はできません。

一方
被害者等の保護の観点 から
一定の事由 について,
被害者等,被害者等の法定代理人,
代理人の弁護士
には
開示を認めています。

・ 被害者参加対象事件についての
記録閲覧請求の場合。

民事訴訟等において被害回復のための
損害賠償請求権その他の権利を
行使する目的である場合。
および,このような場合に限らず
「 事件の内容を知ること 」等を
目的とする場合であっても
原則として閲覧を認めています。

・ 被害者参加対象事件以外の
事件についての
記録閲覧・謄写請求の場合。

民事訴訟等において被害回復のための
損害賠償請求権その他の権利を
行使する目的である場合に
閲覧を認めています。

詳細については
こちらをご覧ください。


● 不起訴事件記録の開示について
- 法務省

http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji23.html
法務省トップページ
> 政策・施策
> 刑事政策
> 検察
> 不起訴事件記録の開示について


捜査中の刑事事件の捜査記録
ついても
刑事訴訟法 第47条
(訴訟書類の公開禁止)により
原則非公開 ですので
一般の人の
閲覧・謄写はできません。



まとめますと

一般の人の
閲覧・謄写ができるとされるのは

制約がありますが
刑事事件では
確定された訴訟記録のみです。


※ 参考文献

★ 証拠収集実務マニュアル
- 東京弁護士会法友全期会民事訴訟実務研究会 編 ぎょうせい 2009.9


★ 立証の実務 改訂版 証拠収集とその活用の手引
― 群馬弁護士会 編 ぎょうせい 2016.9



以上
読んでいただき
ありがとうございました。



2016年10月21日金曜日

改憲論の効果


法律は抽象的に書かれているので
様々な解釈ができます。
上位の憲法は
もっと抽象的なので
さらに多様な解釈ができます。

改憲論の声が
上げられる昨今

マスコミで取り上げられるのは
いつも 憲法 第9条
ですよね。

なぜ
改憲論で問題になるのが
第9条のみで
他の規定は
問題にされないのかというと。

他の規定は
問題が起こった場合は
立法により
容易に解決を
図ることができると
考えられるからです。

それから
特にこの手の問題については
個人的思想や意見等を
それぞれ持っておられると
思いますので,
各人の見識に基づいて
ご判断されればよいと思います。


自衛隊の海外派遣・武器使用など
解釈論でそこまで可能ならば
別にわざわざ改憲する必要もなく
これからも今までのように
解釈で対応していけばよいのでは?

と,いうようになります。

また
内閣法制局
前に倣うことが慣例で無難ですし
それに
行政機関 ですから
立法府で決定されたものを
執行する機関なので
建前上率先して
改憲を唱えるはずがありません。

一方
改憲派の国会議員
立法府 に属しますので
第9条問題において
自衛隊の海外派遣・武器使用など
結論ありきの
苦しい解釈をするくらいなら
国民の合意を得て
改憲することが望ましい。
と,国会議員の職域を活かした
発言が出てきます。

司法 はというと
これは
国家統治の基本に関する
高度に政治性のあるものであり
司法が出る問題ではありません。

そうすると
改憲の是非 については
専門家にお任せ って
わけにはいかなくなるので
国民個人の判断が重大で
一人一人がしっかりした意見を
持つことが重要になります。


責任が重いですよね。


今の政権のことではありませんが
仮に
田中角栄,小泉純一郎 元首相のような
アジテーションに長けた
政治家が登場した場合
大衆は盲目的に
ついて行ってしまいます。


ヒトラー誕生のように
パワーはあるが
ひとつ間違えれば
国がとんでもない方向に
行ってしまう危険性があります。

今,田中角栄 元首相を
礼賛した本が
多く出版されていますが
今後
田中角栄的な政治家が
出てきたならば
また
マスコミは連日こぞって
引きずり下ろすでしょうね・・・。

小室直樹 先生 のように
ぶれなかった方 もおられますが。

テレビ,ラジオ,新聞や
ウェブサイトなどの各メディアは
マインドコントロールや
大衆煽動のツールにもなるし
教養を身につけるための
ツールにもなります。

両刃の剣 ということです。


それから
選挙権も18歳に引き下げらましたが
それにともない
学校教育の見直しも考えられますね。


ところで,
最近の安倍政権の情勢 をみると
今回
幹事長 に 二階俊博 氏
据えました。
これは,党内バランスを取り
対中問題を
安定させることなのでしょう。
それと,寝技もやるぞ
という,メッセージにもなるしね。

外交問題
アメリカが混乱しているうちに
対中,対露関係を
進展させたいでしょう。

また
野中広務 氏 の復党 により
二階俊博 幹事長 同様
海千山千の親中,ハト派の
重鎮の顔が見える
ことで
イメージ的に自民党・安倍内閣の
バランスがとれて
安定してきたようにも思えます。

つまり
外交について
政府と党の姿勢を
人事でメッセージを送っている
ということでしょう。

だから,中国はすぐに
今度の政府が
どう出て来るのかを探りに
尖閣諸島周辺に船を航行させて
試してきますよね。

このような
党と内閣の人事のバランスなどから
政権運営を見れば
安倍首相は
本気で今,改憲なんかするとは
思ってませんよ。

ただ
国民に対して,憲法に関心を向け
主権在民を問うた
とはいえるでしょう。


以上のような
動きから判断すれば

憲法改正をするしないにかかわらず
それを契機に
国民主権について
国民の政治的意思決定の重要性など
国民個人の政治への意識を高めることや
憲法,さらには教育問題
メディア・リテラシーなどに至るまで
色々なことを見直したり
問題提起したりして
国民一人一人が考えを深めることは
よいことだと思います。


最後に
今回のテーマに関連する
本を紹介します。


★ 比較のなかの日本国憲法 (岩波新書 黄版 95) / 岩波書店

★ 「主権者教育」を問う (岩波ブックレット) / 岩波書店

★ 国民代表の政治責任 (1977年) (岩波新書) / 岩波書店

★ 群衆心理 (講談社学術文庫) / 講談社

★ 公衆とその諸問題 - 現代政治の基礎 (ちくま学芸文庫) / 筑摩書房

★ たのしいプロパガンダ (イースト新書Q) / イースト・プレス

★ テレビ的教養 (日本の“現代”) / エヌティティ出版

★ 田中角栄の呪い - ”角栄”を殺すと 日本が死ぬ (カッパ・ビジネス) / 光文社


以上

読んでいただき,
ありがとうございました。

2016年10月11日火曜日

判例時報 と判例評論


法情報検索 各論 4 文献検索 3

講義で紹介された文献や
レジュメに記載されている
参考文献について
よく尋ねられるもののうち
『 判例評論 』 の所蔵
についての質問あります。

まず,
『 判例評論 』
についてですが

『 判例評論 』 は
単体の雑誌ではありません。


『 判例時報 』の 毎月1日号
「 別冊 」 のような形で
『 判例評論 』 が付いて いて
毎号5~10件の記事が記載されています。
つまり,付録です。

『 判例時報 』と『 判例評論 』には
それぞれ 別の号数 がついています。


また,
『 判例評論 』 には
『 判例時報 』本体との
通しページ数 と,
『 判例評論 』 独自の
ページ数 の
2種類のページが表記

されています。

これらが,ややこしく
わかりにくくさせる
理由のひとつです。


データベースでの検索 では
例えば
TKCの場合
「 評釈等所在情報 」
【 判例評論530号16頁
( 判例時報1809号附録 178頁 )】

といったように
『 判例評論 』 と『 判例時報 』 の
号数とページ数が
併記されています。


他方,
LLIの場合
「 評釈論文 」 には
【 判例評論530号16頁 】

『 判例評論 』 の
号数とページ数のみの記載 に
なっていて
『 判例時報 』 の
号数とページ数が
併記されていません。


したがって,検索対象により
データベースの選択が重要です。


無料のデータベースで
検索するならば
『 国立国会図書館サーチ 』 からの
『 NDL雑誌記事索引 』
無難でしょう。

● 国立国会図書館サーチ
http://iss.ndl.go.jp/


判例時報社のWebサイト が
http://hanreijiho.co.jp/

2016年5月9日より
新規公開されましたので,
バックナンバー等の項目から
『 判例評論 』 の検索も
しやすくなったのかな?
と,期待をしていたところ

『 判例評論 』 の号数は
出ていませんでした。
( 2016年10月11日 現在 )
・・・ 残 念 ・・・


これはまあ,「 索引号 」
買ってください。
ということでしょうね。


ということで,
昔ながらの一般的な検索方法で行うには
「 索引号 」 を活用します。

1000号ごとに発行される
臨時増刊 『 判例時報総索引 』 には
『 判例評論 』 の索引
含まれています。

また,各年の「 3月1日号 」にも
だいたい,35号分程度まとめた
「 総索引 」 が
『 別冊付録 』 として付いてきます。


図書館の製本された
『 判例評論 』を調べるには
各図書館で製本する際に
図書館ごとの方法により
『 判例時報 』と『 判例評論 』 を
別々に製本していることがあります。

もし,
目的のページが抜けている場合には
別に製本された『 判例評論 』 に
掲載されていることも考えられるため
そちらも確認したほうが
よいでしょう。

なお,当然ながら
欠号のこともあります。

最後に,もうひとつ
頭に入れておいてほしいことは

引用論文を探す場合,
出典表示に
『 判例時報 』 ○号○頁 と
なっていても,
実際には
『 判例評論 』 に
掲載されている場合があります。
号数,ページ数の表示方法も
著者により出典表示は
まちまちということに
留意しておいてください。


以上

読んでいただき,
ありがとうございました。

2016年10月10日月曜日

判例時報のデータベース化


法情報検索 各論 4 文献検索 2

「 判例時報 」
全文はデータベースで
見ることができますか ?


との質問がよくあります。

回答は,
「 判例時報 」 の全文は,
今のところ
データベース化されていません。

( 平成28年10月10日 現在 )


判例時報社 の Webサイト
については
2016年春より,ようやく
新規公開されました。

『 判例時報 』 の最新刊や
バックナンバー情報を中心

お知らせをするそうです。
(2016年5月9日 Webサイトにて公表)

● 株式会社 判例時報社
http://hanreijiho.co.jp/


これは,あくまでも伝聞にすぎず
裏取りしたわけでもないのですが。

判例時報社は
前社長の目の黒いうちは
データベース化しないし
Webサイトも作らない
という様なことを
聞いていましたが・・・。

2016年春より
Webサイトの新規公開 !

「 ん? 」
何か大きい変化???

そして,
判例時報社Webサイト より
2016年9月23日 公表
代表取締役社長 下平健一 の
死去ならびに新役員体制のお知らせ。

去る平成28年7月3日に
弊社代表取締役社長
下平健一が死去致しました
(享年80歳)。

との,発表。
http://hanreijiho.co.jp/wordpress/news/%E5%BC%8A%E7%A4%BE%E4%BB%A3%E8%A1%A8%E5%8F%96%E7%B7%A0%E5%BD%B9%E7%A4%BE%E9%95%B7%E4%B8%8B%E5%B9%B3%E5%81%A5%E4%B8%80%E3%81%AE%E6%AD%BB%E5%8E%BB%E3%81%AA/


今後は,新体制にもなり
「 判例時報 」 もデータベース化
するんですかねぇ・・・?

今後の動向が注目です。


まあ,それはそれとして

前社長・下平健一 様の
ご冥福をお祈りいたします。


以上

読んでいただき,
ありがとうございました。