2016年12月5日月曜日

情報収集としての盗聴と違法行為


前回(盗聴器発見のTV番組)の話で
一般人宅の盗聴器発見の依頼 があり
探索に行っても
現に作動しているものが
出てくるということは
経験上ほとんどない
述べました。

このような結果になるのは
盗聴器設置行為が
大きな利益にならないことが
多いと思われます。

翻って
研究所や法人からの依頼 では
高い確率 で盗聴器などが
発見されます。

例えば
技術開発
株価の情報収集,操作。
さらには
会社の派閥争いや
企業買収おける工作など

利用されるからです。

特に
技術開発 では
国内の同業者だけでなく
日本の高い技術
他国が欲しがる情報 です。
特に近隣の某国なんかにはね・・・。

大きな利益になる情報
得るための手段としての盗聴は
大掛かりかつ機材もハイテクです。
音声信号を電線に乗せて
盗聴する方法。
電話回線を利用する方法。
さらには
望遠マイクや
レーザー光線を利用した方法。

反対に身近なところでは
ボイスレコーダーによる録音など。
様々な方法があります。

国家レベルであれば
「CIA」「モサド」「MI6」
といった
諜報機関 は国家組織の一部であり
国の情報収集機関 として
重要な役割を担っています。
その規模も
「 プリズム( PRISM ) 」
「 エシュロン ( Echelon ) 」など
巨大なものになります。


民間の個人や法人に話を戻すと
情報収集として
部下や協力者からの報告
他人から得た伝聞情報
どうしても
彼らの 主観 が入ってきたり
報告者の表現により
解釈にズレ が出たり
極端にはウソをつかれて
事実を曲げられる可能性もあります。
また
報告や伝聞 には
対象者の音声情報 がないため
言葉の抑揚など
対象者の微妙なニュアンスの
情報が抜け落ちてしまいます。

これに対し 盗聴
対象者の会話が
音声情報としてダイレクトに
入るため
フィルターとなるものがなく
情報の信頼性は高くなる
といえます。

ということは
裁判においても証拠としての
価値が高いということでしょう。

しかし
情報( 証拠 )収集のプロセス
問題があります。

他人が仕掛けた盗聴波を
受信すること ( 便乗盗聴 )
のみの行為では
違法とはいえません。

とはいえ
盗聴器を仕掛けるのに
正当な理由なく
人の住居や
住居に付属した敷地
( 庭など )の邸宅,
建物に接続して障壁等で囲まれている
囲繞地へ侵入すれば
住居侵入罪刑法 第130条前段

そして
他人の物を損壊
つまり
その物の効用を失わせる行為があれば
器物損壊罪 ( 刑法 第261条 )
に該当するおそれがあります。

(参照)e-Gov法令検索:刑法

電波法 に関していえば
第4条,第59条,
第109条~110条

あたりが関係します。

(参照)e-Gov法令検索:電波法

電気通信事業法
第4条 においても
電気通信事業者の取扱中の通信を
侵してはならない旨の規定があり
これに違反した場合は
第179条 により 罰則 があります。

(参照)e-Gov法令検索:電気通信事業法

さらに
固定電話,ケーブルテレビと
これらの回線を利用するインターネット
などの有線電気通信の設備使用
に関して規定した法律である
有線電気通信法 においても
第9条,第13条~第15条
あたりが関係します。

(参照)e-Gov法令検索:有線電気通信法

このように
捜査機関でない
一般人の盗聴行為には
いくつもの違法行為や犯罪が
含まれるおそれがあります。


刑事訴訟法 における
違法収集証拠排除法則 と異なり

民事訴訟 では
違法収集証拠排除の明文規定はなく
自由心証主義 から
証拠方法の無制限と
証拠力は自由評価
とします。

しかし
著しい反社会的手段を用いて
人格権を侵害する方法で
収集・使用された証拠の場合
例外的に違法収集証拠として
証拠能力を認めない
場合もあります。


盗聴より収集した証拠は
その収集方法によっては
違法収集証拠になる場合も
考えられます。


< 参考サイト >
★ 安心してインターネットを使うために
- 国民のための情報セキュリティサイト
- 総務省

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/security/basic/legal/index.html

★ 微弱無線局の規定
- 総務省 電波利用ホームページ

http://www.tele.soumu.go.jp/j/ref/material/rule/index.htm

★ ラジオライフ.com
http://radiolife.com/category/security/bug/
ラジオライフ.com
> セキュリティ
> 盗聴器


以上
読んでいただき
ありがとうございました。